弊社の場合2011年以前は1F全面温水床暖房または安価な深夜電力を利用した床下蓄熱暖房方式を
採用していましたが、福島原発事故以降、全館暖房の方法として床下エアコンという方法を採用し始めました。
1.断熱性向上による快適性の向上とエネルギー削減
床下空間に暖かな空気を充填させ1F床全体を温め、更に室内を通して2階まで全館を温める方式です。
まず暖かな空気を暖めると隙間があると暖気はどんどん抜けて行ってしまいます、そのためにも基礎を含め家の気密性が重要となります。
また基礎のコンクリートが外気に触れているとコンクリートを伝わり熱は逃げてゆきますので、基礎の立ち上がりは内側だけでなく外側も断熱することが重要になります。
更に基礎内外を断熱することには大きなメリットがあります。
コンクリートの寿命が無限になる
2.中性化
コンクリートの中性化の問題です、鉄筋コンクリートの寿命は60年と学生の頃教わりました、コンクリートの寿命は空気中の酸素(O2)や二酸化炭素(CO2)によりそもそもアルカリ性であるコンクリートが表面より中性化してゆき、中に入っている鉄筋が錆びてしまと体積が膨張しひび割れが起きて浸入した雨水により錆の進行や、冬期においては浸入した水が凍結しコンクリートを割ってしまう凍害煮より更に劣化が進み、コンクリートの強度的な寿命となります。
コンクリートの寿命を長くする(中性化して鉄筋が錆びる時間を伸ばす)にはコンクリートをふかして(計算上必要な暑さ以上に鉄筋の表面から空気までの距離を厚くする)
寿命を伸ばす方法や、セメント量を増やして(コンクリート強度を増して)中性化を防ぐ方法などがあります。
つまり、コンクリートの寿命を伸ばすには中性化しないように、外気がコンクリートに直接触れないようにすればよいわけで。
断熱材を外気側に貼るのはもちろん室内側にも貼ることができれば、コンクリートの寿命は100年どころか無限になるわけです。
もちろん、中性化を防ぐには皮膜のしっかりした塗料によりCO2と触れないようにすることも有効です。
スタイロフォームなどの板状の断熱材を接着などにて貼り付けることにより、可能になりますが、型枠に貼り付けコンクリートを打設すれば隙間なく一体化して中性化は起こらなくなるということです。
この内容は裏付けがあります、2003年に日本建築学会技術報告書に北海道大学・北総研のチームに依る論文が掲載されております。
3.クラックの防止
もう一つのメリットは温度変化に依る内外温度差によって生じるコンクリートの膨張収縮によるクラック(細かな割れ)の発生を抑えられるということ、
確かに夏の西面の壁は日射の影響で高温になり、冬は北からの風雨により低温となる。
そうなると膨張・収縮が繰り返されることによりヘアークラックが起こり、そこに冬季雨水が侵入し外気が0℃以下になると侵入した水が凍って体積が膨張することにより、コンクリートが破壊されていく(凍害)が鉄筋を錆びさせ寿命縮める一因となります。
中性化を遅らせるには丈夫な皮膜を塗装することが有効だと記述しましたが、鉄筋コンクリートの温度変化による膨張収縮は抑えることが出来ないので、断熱材で温度変化をやわやげることが重要になります。
集合住宅環境配慮型リノベーション協議会
4.木造住宅における構造体の長寿命化
コンクリートの長寿命化の事を書きましたが、木造住宅においても躯体(木造軸組)の外側に断熱する付加断熱は柱・梁などを温度・湿度変化によるストレスが加わらなくなる。
木材も生活する家族と同じ環境になり暑くなく寒くない快適な環境に置かれることにより長寿命となる。